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  長年コラムを書き続けていると、ひょんなこともあるもので、あのうるるとさららのダイキン工業から原稿の依頼が舞い込んだ。空調の専業メーカーからの依頼ということで内容もその方面に向いたものにと知恵を搾り出すことになった。そのコラムをこのページでもご紹介させていただき今月のコラムに代えさせていただこうと思う。時には違った語り口の「よしうち」を楽しんでいただきたい。


2006年10月のコラム
「犬のアトピー」の話

  今日では、犬や猫たちを一つ屋根の下で暮らす「家族の一員」として迎える人が増えています。彼らと共に暮らすことで心の潤いや安らぎが得られ、また疎外感や孤独感から開放され、さらに動物を世話することで生きがいや責任感が生まれます。つまり、共に暮らすことによって、人も動物もより健康で幸福な生活をおくれるということなのです。

  そこで大切になってくるのが、動物たちを理解するということです。理解することで互いに我慢しあうようなことを極力少なくすることができます。食事についてもそうですし、住環境や行動、かかりやすい病気や人と動物に共通の感染症など、言葉を話せない、そして、ヒトとは異なる動物種の家族だからこそ、知っておかなければならないことも多いでしょう。

  今回はその第3回目として、イヌの「アトピー性皮膚炎」について考えてみましょう。唐突なようですが、免疫という言葉はご存知でしょう。体内に侵入した細菌やウイルスに対して抗体というものを作り、それらの微生物をやっつけるシステムのことですね。

  この免疫システムがいわば誤作動をおこし、本来抗体を作る必要のない相手たとえば花粉や食物などに対して抗体を作ってしまい、免疫反応を起こすのがアレルギーです。そして、このアレルギーを起こしやすい状態、言いかえれば免疫システムの誤作動を起こしやすい体質のことをアトピーと呼んでいます。

  イヌのアトピー性皮膚炎は、その8割以上が室内のコナヒョウダニやヤケヒョウダニなどのいわゆるハウスダストマイトに対して抗体を作ってしまうことで発症します。この抗体はハウスダストマイトを吸入することで作られると考えられています。

  けれども、症状は吸入性に出るわけではありません。この抗体を持ったイヌが室内を歩いたり、においを嗅いだりする時に皮膚にハウスダストマイトが付着しその部分にアレルギー反応が起こるのです。したがって4つの足先や顔面に強い症状が出ます。つまり眼や口の周りや足先の「紅み」と「かゆみ」が主な症状となります。また、発症の年齢も、普通のアレルギーが4歳以降に多いのに対し、1歳半以内であることも特徴的です。イヌの行動を見ていると、しきりに足先を噛んだり舐めたり、顔をカーペットにこすり付けたりしますが、その部分をよく見ても少し紅くなっているくらいのことが多いものです。

  こんな症状に気づいたら、低刺激性で保湿力に優れたシャンプーで、少し頻繁に体を洗ってみましょう。そうすることで、体表に付着したハウスダストマイトを洗い流し、アレルギー反応を軽くすることができます。また、空気清浄機やアレルゲンをからめとるスプレーを使用して頻繁に室内の清掃をすることも付着の可能性を低減するのに有効です。もちろん寝床は清潔に保ち、ダニの繁殖を抑えるような素材にするのも効果的です。

  この時期に皮膚が少し紅い程度だからと見過ごすと、アレルギー反応を起こしている部分の皮脂腺の活動が活発になり、もともと皮膚の表面に常在してその皮脂を栄養源にしているマラセチアという真菌の一種が増殖をはじめ、皮膚の症状を悪化させます。さらにもうひとつの皮膚の常在微生物のブドウ球菌が二次感染を起こし、紅いポツポツやカサブタなどの皮疹が目に付き、かゆみの程度もうんと激しいものになってきます。

  悪化してしまったアトピー性皮膚炎でも、シャンプー療法と室内のダニ対策は基本ですが、二次感染を抑える抗生剤や時にはステロイド剤の使用も考慮しなくてはなりません。最近では抗アレルギー薬や脂肪酸製剤の使用も可能です。色素沈着や象皮化を伴うような重症例では、シクロスポリン製剤やインターフェロン製剤のアトピー性皮膚炎への応用も可能となっています。

(文責:よしうち)
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